こんにちは。
iUから株式会社ジャパン・エンダストリアルの実習に参加した山春拓人です。
今回の実習では、株式会社ジャパン・エンダストリアルの事業を理解するところから始まり、SharePointやPower Appsの基礎学習、製造現場への訪問、現場担当者へのヒアリング、システムの提案、設計、開発、改善、引き継ぎまでを経験しました。実習前の私は、システム開発に対して「決められた仕様に沿って機能を作る仕事」という印象を持っていました。
しかし、今回の実習では、最初から正解や完成形が決まっていたわけではありません。実際の現場を見て、利用する方の話を聞き、現在の課題と将来の理想を整理したうえで、必要な仕組みを自分たちで考えました。
さらに、開発したシステムを現場の方に操作していただき、そこで得た意見を機能の追加や操作性の改善につなげました。
今回の実習で学んだのは、知識やツールの使い方だけではありません。現場を理解し、自分で考え、相手に提案し、周囲と協力しながら形にしていくことの大切さを学びました。
企業理解から始まった実習
実習の前半では、「Webプログラム」と呼ばれる企業理解のワークに取り組みました。
株式会社ジャパン・エンダストリアルについて紹介された動画や資料を確認し、会社がどのような事業を行っているのか、どのようなサービスを提供しているのかを整理しました。
内容をそのまま書き写すのではなく、「どのような課題を持つ企業に対して、どのような支援を行っているのか」という視点を意識しました。
理解した内容は自分の言葉でWord資料にまとめ、発表用のスライドを作成しました。最後には、作成した資料を使って発表を行いました。
動画や資料から情報を読み取り、文章として整理し、他の人へ伝えるところまで取り組んだことで、株式会社ジャパン・エンダストリアルの事業内容やサービスへの理解を深めることができました。
また、企業の課題に対して、単にツールを導入するのではなく、現場の状況を確認し、相手と一緒に改善方法を考える姿勢が重要だと知りました。
この考え方は、その後の工場見学やシステム開発にもつながりました。
SharePointとPower Appsの基礎を学ぶ
企業理解の後は、SharePointを使ったポータルサイト制作に取り組みました。
自分用のポータルサイトを作り、ページの構成や掲載する情報を考えながら、情報を整理して表示する方法を学びました。
その後、Power Appsの基礎学習として、ワールドカップの試合情報や観戦記録を管理するアプリを制作しました。
画面の作成、SharePointとのデータ連携、画面遷移、データの登録、一覧表示などを行い、Power Appsでアプリを作る基本的な流れを経験しました。
さらに、総務部門の業務課題を想定したケーススタディにも取り組みました。
備品情報、予約情報、利用者情報を管理するSharePointリストを作り、それらと連携するPower Appsアプリを制作しました。
このワークでは、画面を作るだけでなく、どの情報を管理するのか、どのリストへ保存するのか、利用者がどのような順番で操作するのかまで考える必要がありました。
段階的に複数のワークへ取り組んだことで、画面の見た目だけでなく、データの保存先や利用者の操作まで意識するようになりました。

用意された課題から、正解のない現場課題へ
基礎ワークを終えた後は、製造業の協力企業が抱える在庫管理上の課題に取り組みました。
それまでのワークでは、作るものや必要な機能がある程度決められていました。しかし、ここからは、実際の企業が抱えている課題をもとに、自分たちで必要な仕組みを考える必要がありました。
工場を訪問する前には、企業や業務について事前調査を行い、現場で確認したいことや質問内容を整理しました。
工場見学では、実際の部品や保管場所を見ながら、部品が入庫してから保管され、製造工程で使用されるまでの流れを確認しました。
また、現場担当者へのヒアリングを行い、入庫、出庫、棚卸、現在在庫の確認がどのように行われているのかを伺いました。
このときに意識したのは、管理している情報だけでなく、実際に作業する方の動きを見ることです。
誰が情報を入力するのか、どのタイミングで記録するのか、作業中にどの情報を確認するのか、どの作業に負担がかかっているのかを確認しました。
資料や説明だけでは分からなかったことも、現場を見ることで具体的に理解できました。
工場見学以降は、用意された課題に取り組むのではなく、現場の状況を自分で理解し、必要な機能を考えることが求められました。ここが、今回の実習における大きな転換点だったと感じています。
現状と理想を整理し、システムを提案する
工場見学後は、ヒアリングで得た情報を整理し、協力企業の社長や現場担当者に向けて提案発表を行いました。
発表では、現在の業務、現場が抱えている課題、将来目指したい状態、自分たちが開発するものという順番で内容を整理しました。
自分たちが提案したのは、部品情報、入庫、出庫、棚卸、現在在庫を一つの仕組みで管理する在庫管理アプリです。
入庫や出庫を登録すると現在在庫数が更新され、必要な履歴や在庫状況をアプリ上で確認できる状態を目指しました。
提案では、作る機能を説明するだけでなく、「なぜその機能が必要なのか」「どの課題を解決するのか」を伝えることを意識しました。
この経験から、提案では、自分たちが作りたいものではなく、相手が抱えている課題と解決方法を結び付けて伝えることが重要だと学びました。
現場で使うことを考えた設計と開発
提案後は、工場見学やヒアリングの内容をもとに、アプリの画面とデータベースを設計しました。
画面設計では、入庫、出庫、棚卸、在庫一覧、各履歴などの画面について、表示する情報、入力項目、ボタンの配置、画面の移動方法を考えました。
機能を多く配置することよりも、現場担当者が迷わず操作できることを意識しました。
また、Power Appsで扱う情報を保存するため、SharePointリストの設計も行いました。
部品の基本情報、現在在庫、入庫履歴、出庫履歴、棚卸履歴などについて、必要な列やデータ型を整理しました。
設計後は、Power Appsを操作画面、SharePointをデータベースとして使用し、在庫管理アプリを開発しました。
主に、入庫、出庫、棚卸、現在在庫の確認、各履歴の表示といった機能を作成しました。
入庫を登録すると在庫数へ数量が加算され、出庫では数量が減算されます。棚卸では、システム上の在庫数と実際の在庫数を比較し、その結果を現在在庫へ反映する仕組みを作りました。
基礎ワークで学んだ画面作成やデータ連携を、実際の企業課題に対して活用できたことは、大きな成果の一つです。
実際に使っていただいたことで見えた改善点
開発途中には、協力企業へアプリの進捗報告を行い、現場担当者に実際に操作していただきました。
開発している側では問題なく使えると思っていた機能でも、初めて操作する方に使っていただくと、分かりにくい部分や手間がかかる部分が見えてきました。
現場担当者からは、目的の部品をすぐに探したい、同じ情報を何度も入力したくない、登録内容を後から変更したい、担当者や保管場所を候補から選びたいといった意見をいただきました。
そこで、品名を入力すると候補を絞り込める検索機能や、部品を選ぶと関連する情報が自動で表示される機能を追加しました。
担当者や保管場所も、自由入力ではなく候補から選択できるようにしました。
さらに、登録後に数量や担当者、日付、保管場所などを変更できる編集機能や、削除したデータを別の場所へ一時保存する仕組みにも取り組みました。
現場からの意見を反映するだけでなく、工場見学で見た作業の様子を思い出しながら、「この機能も必要なのではないか」と自分から提案したものもありました。
すべての機能を完全に仕上げられたわけではありませんが、最初の基本的なアプリから、現場での利用をより意識したアプリへ改善することができました。
システムは、開発者が完成したと思った時点で終わるのではなく、実際に利用する方の反応を確認しながら改善することが重要だと学びました。

思いどおりに進まない中で学んだこと
開発中には、Power AppsとSharePointの連携や、データ型、検索条件、在庫数の更新など、多くの問題が発生しました。
設計書があっても、どの関数や処理を使えば実現できるのか分からない場面もありました。
その際は、まず自分で原因を調べ、分からない部分を社員の方へ相談しながら進めました。
特に苦労したのは、履歴と現在在庫を連動させる処理です。
登録だけでなく、履歴を編集したり削除したりした場合にも、在庫数を正しく変更する必要があります。
処理の一部だけが動くと、履歴と現在在庫の内容が一致しなくなるため、テストデータを使いながら一つずつ確認しました。
また、複数人で同じアプリへ大きな変更を加えたことで、正常に動かなくなり、バックアップから一部の機能を再構築したこともありました。
この経験から、開発では技術だけでなく、役割分担、進捗共有、変更内容の記録、バックアップも重要だと学びました。
うまく動かないときにも、原因を整理し、自分で調べ、必要に応じて相談する姿勢が身に付きました。
作って終わりにしないための引き継ぎ
実習の最後には、アプリの使用説明書と開発引き継ぎ資料を作成しました。
使用説明書には、各画面の役割や、入庫、出庫、棚卸の操作手順をまとめました。
開発引き継ぎ資料には、実装済みの機能、未完成の機能、今後修正が必要な部分を整理しました。
すべてが完成しているように見せるのではなく、現在動作している部分と、残された課題を分けて記載しました。
アプリを作るだけでなく、利用する方や次の担当者が内容を理解し、継続して使ったり改修したりできる状態にすることも重要だと感じました。
実習を通して変わったこと
今回の実習で最も成果が出たことは、現場の課題をもとにシステムを提案し、利用者からの意見を機能改善につなげられたことです。
実習前は、決められた機能を正しく作ることが重要だと考えていました。
しかし、今回の実習を通して、利用する方の業務を理解し、その方が使いやすい仕組みにすることが重要だと学びました。
また、指示を待つだけでなく、自分で必要な機能を考え、チームや社員の方へ提案するようになりました。
ミーティングで話が進まないときや、発言が少ない場面では、自分から話すことも意識しました。進捗や連絡事項についても、自分から共有するよう心掛けました。
技術面では、社員の方へ相談しながら進めた部分も多くあります。それでも、分からないことをそのままにせず、自分で調べ、相談し、実装して確認する流れを繰り返すことができました。
技術力だけでなく、自分から行動する力、周囲と相談する力、状況を共有する力も成長したと感じています。
実習で学んだことをイベント分野へ
私は将来、イベントプロデューサーとして、イベントやステージの企画・演出に関わりたいと考えています。
在庫管理アプリの開発とイベント制作は異なる分野に見えます。
しかし、実際の現場を見ること、関係者から話を聞くこと、現状と理想を整理すること、必要な仕組みを考えること、複数の関係者と調整すること、実施後の意見を改善につなげることは、イベントの企画や運営にも共通しています。
イベントも、演出やコンテンツだけでは完成しません。
来場者の動線、スタッフ間の情報共有、備品管理、当日の進行、出演者や技術スタッフとの調整など、さまざまな業務が関係しています。
今回の実習を通して、目に見える部分だけでなく、その裏側にある業務や仕組みを考えることの重要性を学びました。
今後は、来場者だけでなく、出演者や運営スタッフにとっても価値のあるイベントを設計できるイベントプロデューサーを目指します。
実習を終えて
今回の実習では、株式会社ジャパン・エンダストリアルについて理解するところから始まり、SharePointとPower Appsの基礎学習、工場見学、ヒアリング、提案、設計、開発、改善、引き継ぎまでを経験しました。
基礎で学んだことを実際の企業課題に活用し、現場の声をシステムとして形にできたことは、自分にとって大きな経験になりました。
思いどおりに動かないことや、完成できなかった機能もありました。
それでも、自分で調べ、社員の方やチームメンバーに相談し、動作確認を繰り返しながら、少しずつ形にすることができました。
タイトルのとおり、今回の実習は「学ぶだけ」で終わりませんでした。
現場を見て、自分で考え、相手に提案し、仲間と協力しながら形にするところまで経験できました。
今回学んだことを、今後の学業やプロジェクト、そして将来目指しているイベント分野での活動に生かしていきます。
実習に関わってくださった株式会社ジャパン・エンダストリアルの皆さま、協力企業の皆さま、一緒に実習や開発を進めたメンバーの皆さま、本当にありがとうございました。








