最近、YouTubeを見ていて面白いなと思ったことがあります。安野たかひろさんと令和ロマン くるまさんの対談動画です。この中ではさまざまなことが語られているのですが、印象に残ったことは、抽象度の話です。くるまさんが自分自身の発言が抽象化されて社会に共有される話をしています。また、安野さんも有権者の票を集めるために戦略的にラベルを貼ることの大切さを話されています。

お二人ともコミュニケーションが重要な仕事だと思います。(これもかなり抽象化していますが。)対談を聞いて、この具体と抽象について、思ったことをメモしておこうと思います。ここから下の文章は生成AIと一緒に書いたので粗い(無理やりな感じ)ですが、おおむね言いたいことは書いてあります。

人は、何か大きな成果を出すと、その人自身ではなく「象徴」として見られるようになります。

お笑いで成果を出した人の言葉は、お笑い論として受け取られる。
エンジニアから政治家になった人の言葉は、テクノロジーと社会の話として受け取られる。
経営者の言葉は、経営論として受け取られる。

これは自然なことです。

人は、個別の出来事をそのまま理解するよりも、そこから共通する構造を見つけた方が理解しやすいからです。

たとえば、「ある人が漫才で優勝し、その後に映画制作へ進んだ」という話だけを聞くと、かなり個別の人生に見えます。

しかし、そこから「表現の形は違っても、人に何かを届けるという点では共通している」と抽象化すると、多くの人が理解しやすくなります。

漫才と映画。
ソフトウェア開発と政治。
AIと芸術。
一見するとまったく違う領域でも、抽象化してみると、同じような構造が見えてくることがあります。

ただし、ここで注意したいことがあります。

抽象化はとても大切ですが、抽象だけでは現場は動かないということです。

抽象化は「地図」に似ている

抽象化は、地図に似ています。

地図があると、目的地までの方向が分かります。
全体像もつかめます。
どこに向かえばよいのかも見えやすくなります。

しかし、地図だけを見ていても、実際の道の状況までは分かりません。

現地には、坂道があります。
工事中の道があります。
雨の日だけ通りにくい場所があります。
地図には載っていない細い道もあります。
その地域の人しか知らない事情もあります。

つまり、地図は必要です。
しかし、地図だけでは不十分です。

抽象化も同じです。

「DXが必要です」
「AIを活用しましょう」
「業務改善を進めましょう」
「データを活用しましょう」

これらは、どれも大切な言葉です。
しかし、抽象的な言葉だけでは、実際の現場は変わりません。

現場を動かすためには、必ず具体に戻る必要があります。

DXという言葉は伝わりやすいが、現場ごとに中身は違う

中小製造業の現場でも、同じことが起きています。

「DX」という言葉は、多くの人に知られるようになりました。
経営課題としても語られるようになり、補助金や行政施策の中でもよく使われています。

しかし、実際の現場で起きている課題は、会社ごとに大きく異なります。

同じ「在庫管理」でも、扱うものによって中身はまったく違います。

ネジの在庫管理。
食品原料の在庫管理。
金型の管理。
工具の貸出管理。
消耗品の発注管理。
半製品の置き場管理。

これらはすべて「在庫管理」と呼ぶことができます。

しかし、実際にシステム化しようとすると、見るべき項目も、更新のタイミングも、入力する人も、必要な画面も違います。

同じ「日報」でもそうです。

作業実績を集めたいのか。
原価を把握したいのか。
若手社員の成長支援に使いたいのか。
設備異常を早く見つけたいのか。
顧客への報告資料に使いたいのか。

目的が違えば、日報に書くべき内容も変わります。
画面の作り方も変わります。
集計の仕方も変わります。

つまり、「在庫管理」「日報」「見積管理」「設備点検」といった言葉は、あくまで抽象化された名前です。

本当に大事なのは、その会社にとっての具体です。

抽象化しないと伝わらない。具体化しないと動かない。

DX支援で重要なのは、抽象と具体を行き来することです。

経営者に対しては、抽象化が必要です。

なぜこの取り組みが必要なのか。
会社全体にとってどんな意味があるのか。
売上、利益、人材育成、品質、納期、属人化解消にどうつながるのか。

こうした話は、抽象度を上げて整理しないと伝わりません。

一方で、現場に対しては具体化が必要です。

どの帳票をなくすのか。
どのExcelを置き換えるのか。
誰が入力するのか。
どのタイミングで確認するのか。
どの画面があれば使いやすいのか。
どの項目は必須で、どの項目は後回しでよいのか。

ここまで具体化しないと、現場では使われません。

抽象化しないと、経営課題として伝わらない。
具体化しないと、業務として動かない。

この両方をつなぐことが、DX支援の大切な役割です。

製造業特化の価値は「具体の話ができること」

私たちは、製造業に特化してDX支援を行っています。

製造業特化というと、単に「製造業の事例を知っている」という意味に聞こえるかもしれません。

もちろん、それも大切です。
しかし、本当の価値はもう少し深いところにあります。

それは、抽象的なDXの話を、製造業の具体的な業務に当てはめられることです。

たとえば、ノーコードツールを導入しましょう、という話だけなら多くの会社ができます。
しかし、製造業の現場では、その前に考えるべきことがあります。

現場の入力負荷はどれくらいか。
紙の帳票はどこで発生しているのか。
事務所と現場の距離はどうか。
図面、品番、工程、ロット、設備、作業者、検査記録をどう扱うのか。
既存のExcelや基幹システムとどう共存するのか。
現場の人が無理なく使い続けられるか。

こうした具体に戻れなければ、DXはきれいな言葉のまま終わってしまいます。

逆に、具体だけを見ていても、全体の方向性を見失います。

「このExcelを少し便利にする」
「この帳票をアプリにする」
「この作業を自動化する」

それ自体は大切ですが、会社全体としてどこに向かうのかが見えていなければ、部分最適になってしまいます。

だからこそ、抽象と具体の往復が必要です。

AI時代には、この往復運動がさらに重要になる

生成AIやノーコードツールの進化によって、誰でもアプリを作ったり、文章を作ったり、アイデアを形にしたりしやすくなりました。

これは大きな変化です。

しかし、道具が便利になったからこそ、何を作るべきか、なぜ作るのか、どの業務に合わせるのかがより重要になります。

AIは、抽象化が得意です。
文章を要約したり、共通点を見つけたり、構成を整理したりすることができます。

一方で、現場の具体を理解するには、人の観察や対話が欠かせません。

現場で誰が困っているのか。
なぜそのExcelが残っているのか。
なぜ紙でなければならない場面があるのか。
どこまでなら変えられるのか。
誰が納得すれば前に進むのか。

こうした具体は、簡単には抽象化できません。

だからこそ、AI時代のDX支援では、抽象化する力と具体に戻る力の両方が必要になります。

まとめ

抽象化すると、多くの人に伝わりやすくなります。
しかし、具体を失うと、現場では使えなくなります。

DX、AI、ノーコード、業務改善。
これらの言葉は、会社を変えるための大切な入口です。

しかし、本当に会社を変えるのは、その会社ごとの具体です。

どの業務を変えるのか。
誰の負担を減らすのか。
どの情報を見える化するのか。
どの判断を早くするのか。
どの仕事を次の世代に引き継げるようにするのか。

抽象化は、人に伝えるための力です。
具体化は、現場を動かすための力です。

中小製造業のDXに必要なのは、この両方を行き来することです。

きれいな言葉で終わらせず、現場の具体に戻る。
目の前の改善で終わらせず、会社全体の方向性に戻る。

その往復運動こそが、これからのDX支援に求められる力だと考えています。