導入

今回は、複数の製造業で実施した「DXリーダーシップ研修」のご紹介です。


背景

製造業の現場では、EV化や脱炭素を背景とした市場構造の変化、多品種少量生産への移行、人材不足など、大きな転換点が訪れていました。従来の延長線上では判断できない場面が増え、現場改善・デジタル活用・組織づくりを横断的に捉えるリーダーシップが求められていました。
一方、各社の共通課題として、「データの遅延や非正確性」「現場と管理部門の認識ギャップ」「習慣化しないデジタル活用」「新しい取り組みへの抵抗感」など、組織全体の変化を阻む要因が顕在化していました。


課題

各企業では、デジタルツール導入や改善活動が単発で終わり、組織全体の変革につながらないという悩みを抱えていました。
具体的には、

  • 業務データが手書きで、精度が低く活用できない
  • 新しい仕組みが「定着」せず、現場の抵抗感が強い
  • 各部門が最適化され連携が弱く、改善が横展開されない
  • システム導入が目的化し、経営課題とのつながりが薄い

といったさまざまな壁が複雑に絡み合っていました。


支援内容

研修は、DX推進を「登山のプロセス」と捉えた体系的なフレームワークを軸に行いました。
まず、リーダーが直面する5つの葛藤を整理し、自社の意思決定の癖を可視化しました。
次に、DX推進を「策定(登り方をデザインする)」「実行(実際に登る)」の2段階に分け、目的設定、打ち手の設計、データ活用、現場の巻き込みなどの具体的なプロセスを学習しました。
さらに、実際の事例を用いながら、感情の壁・接触頻度の壁・具体化の壁・継続の壁をどのように超えるかをワーク形式で体験いただき、現場に戻ってすぐに活用できるリーダー行動へと落とし込みました。


今後の展開

研修を受けた企業では、デジタル化や改善活動を「人を巻き込みながら進めるプロセス」として捉え直す動きが始まっています。
部門横断のチームが立ち上がり、デジタル活用を前提とした計画策定や、現場との対話による課題抽出が徐々に進んでいます。
また、経営層とミドル層の思考軸が揃うことで、中期的な組織変化—生産性向上、仕組みの標準化、新しい価値創出に向けた取り組み—へとステップを踏み出しつつあります。


おわりに

今回のDXリーダーシップ研修では、変化の大きい製造業における「人を導く力」に焦点を当て、組織が継続的に変革し続けるための思考とプロセスを体系的に学んでいただきました。今後も、各企業の状況に寄り添いながら、実行と学習を両輪とした支援を続けてまいります。

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