製造業はIT化をするべき!IT化が進まない背景とは?

IT化の現状

IoTやAIなどの先端技術が目覚ましい進化を遂げているなか、製造業のIT化はどれほど進んでいるのでしょうか。

今回のコラムでは、最新のトレンド紹介とともに製造業におけるIT化の現状を解説します。

日本企業のIT化は後手に回っている

産業のIT化が叫ばれて久しいですが、日本企業のIT化は他の国々に比べて後手に回っているのが現状です。

アメリカではシリコンバレーに拠点を持つ先進的なIT企業がしのぎを削って技術開発に取り組んでおり、近年では「Uber(ウーバー)」が配車サービスとITを組み合わせてタクシー業に大きな変革をもたらしました。

さらにゼネラル・エレクトリック社が、IoTとビッグデータを活用する「インダストリアル・インターネット」というサービスを提唱し、製造業のビジネスモデルを変えようとしています。

同様にドイツでは「インダストリー4.0」という国家プロジェクトを掲げ、官民一体となって製造業のスマート化にいち早く取り組んでいます。

また、中国は「中国製造2025」というコンセプトのもと、積極的にITを取り入れて世界の製造強国の仲間入りを目指しているところです。

日本では一部の資本力のある企業がIT化を推し進めているものの、業界全体には流れが及んでいません。IT化がもたらすメリットへの無理解や、資金や人材不足などで導入に消極的な企業が多いことが課題となっています。

新しいテクノロジーにも後ろ向き

日本の製造業界では新しいテクノロジーの導入に後ろ向きな企業が多くあります。本来なら、製造業はIT化のメリットが大きく、業務効率化や人手不足の解消を実現することができます。

しかし、ノウハウや資金力に不安があり、IT化に二の足を踏む企業が少なくありません。ITの導入には一定の知見が求められるため、経営者自身にもシステムに対する理解がなければいけません。

そのほかにIT化を阻むものとして挙げられるのは、製造業の伝統である改善活動です。

日本の製造業の強みは業務改善をボトムアップで積み上げてきたことですが、長年にわたって独自のシステムを開発してきた結果、「ITベンダーが提供するソフトウェアへの移行が難しい」という側面があります。

スケジュール駆動・イベント駆動

ところで、ITによる活用がこれほど製造業で重視されるようになったのはなぜでしょうか。これにはスケジュール駆動とイベント駆動が関係しています。

決まったスケジュールに合わせて起きるスケジュール駆動

スケジュール駆動とは決められたスケジュールに合わせて起きる事象です。例えば学校の教育はスケジュールによる行動ですし、鉄道やバスも決められた時刻表に準じて行動するのでスケジュール駆動といえます。

製造業に置き換えると、受注予測や販売目標に合わせた大量生産がスケジュール駆動で行われてきました。いわゆる見込み生産です。

しかし、見込み生産では在庫不足や過剰生産に陥ることも少なくありません。さらに多様化する顧客のニーズに応えるためにも、現代ではオーダーメイドに対応できる生産体制が求められています。

個人の意思や社会の需要が動機になるイベント駆動

一方で個人の意思や社会の需要が動機になる行動をイベント駆動といい、現代はスケジュール駆動からイベント駆動への転換点にあると考えられています。

先の「Uber」による配車サービスは典型的なイベント駆動で、顧客はスマートフォンで自分の居場所を知らせ、そのアクションが契機となって運転手が誘導されます。

一部の製造業においても、IoTを活用したイベント駆動への取り組みが始まっています。現状ではセンサーが機械の状況を読み取って人に知らせる仕組みが一般的ですが、IoT技術を導入するとセンサーが機械の稼働状況を認識して、人を介さずに製造現場をコントロールすることが可能です。

製造業が注目すべきポイント

ひと口にITといってもその技術はさまざまです。そこで、製造業にとって有益な技術を紹介します。

AI

AI(人工知能)はさまざま業界での活用が見込まれていますが、製造業ではAI技術の発達による工程の自動化で人手不足が解消することが期待されています。

例えば、画像診断技術はディープラーニングによって精度が高まるため、人に頼らない不良品の検知に役立ちます。また、AIが過去のデータから各種機械の効率的なオペレーションを予測し、熟練の作業員が必要だった複雑な操作もできるようになります。

HRテック

HRテックは、人材を意味するHR(Human Resource)と テクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉です。採用やマネジメント、評価、勤怠管理などのさまざまな人事業務に、AIやビッグデータ、クラウドといった最先端の技術を取り入れて人事課題を解決できるようになります。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングは端末の近くでサーバーを分配配置するネットワーク技法です。インターネットを介して遠隔地にあるコンピューターを利用するクラウド技術は、大容量のデータを送受信する際に時間がかかることがネックになっていました。

しかし、エッジコンピューティングではあらかじめデータ処理をして必要な情報だけを送信するため、クラウド・サーバーのデータ処理時間を軽減することができます。

デジタルツイン

デジタルツインは、現実にある生産設備やオペレーションをデジタル空間に再現し、工場そのものをコピーする技術です。

デジタル空間で生産設備の稼働シミュレーションを行って将来のトラブルを予測できるほか、IoTで取得したデータをAIがリアルタイムで分析して業務の効率化に役立てることができます。

ウェアラブル・デバイス

スマートウォッチのような身に付けられる端末がウェアラブル・デバイスです。工場ではスマートグラスという眼鏡型の端末を装着し、遠隔地からの映像を共有することで現場作業員の支援ができます。

熟練作業員がウェアラブル・デバイスを装着して新人作業員を指導することで、事故防止や熟練技能の継承につながると期待されています。

成功事例

ここからは、IT化を取り入れて業務効率を改善できた企業の事例をご紹介します。

事例①国産のRPAソフトを導入 フレックスリンク

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、事務的な作業を自動化する技術です。フレックスリンクでは、優秀なエンジニアたちが多くの定型事務を担っており、製造業務の遅延や手作業によるミスの発生が課題となっていました。

そこでRPAを導入したところ、「2時間かかっていた月次報告書の作成を15秒に短縮する」という劇的な業務効率化を達成することができました。

事例②販売管理システムを導入 株式会社LIXIL

株式会社LIXILでは、営業担当者が始業前に販売管理システムにアクセスし、売上目標と実績の差を確認して計画を立てていました。

しかし、システムが老朽化していたため夜間のバッチ処理を始業直前まで行っており、アプリケーションによっては処理が間に合わないものもありました。

将来的に処理データの増加が見込まれていたことから、システムの性能向上と短期稼働を目的に導入したのが富士通の「PRIMEFLEX for Oracle Database」です。新システムの導入によりバッチ処理時間が半分以下になり、始業前に実績データを営業担当者に提供できるようになりました。

まとめ

製造業とIT技術の親和性は高く、うまく活用すれば人手不足の解消や業務効率化を実現できるようになります。最新技術や他企業の成功事例へ常にアンテナを張り、自社のIT化の参考にするとよいでしょう。

(画像は写真ACより)

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