現場のカイゼン!どのように進めればいいのか

カイゼンとは

カイゼンとは、製造業において生産現場の改善を行うことを指します。本来の意味である「悪いところを改めて良くする」と区別するためにカタカナ表記になっています。

カイゼン活動の中身は、作業効率を向上させるために生産ラインの見直しや工具の製作、安全性の確保、品質不良防止など生産に関わることはすべて対象範囲です。

カイゼンの最も特徴的な点は、作業者自らが自主的に行うボトムアップにあります。上から指示されて取り組むのでなく、現場の社員が知恵を出し合って作業を見直すことで、大きな効果を発揮します。

カイゼンは多くの企業で取り入れられている手法ですが、最初に注目されたのはトヨタ式のカイゼンでした。トヨタでは異常が発生したら機械が停止して不良品を出さないという「自働化」が基本的な生産方式です。

この自働化は機械が進歩したからできたわけではなく、作業者が手作業で生産設備を作りこむことで達成できました。

標準作業に当てはまらない事態が起きた場合、ラインを止めてその原因を取り除き、標準作業に組み込むなどのカイゼンを日々積み重ねていくことで、トヨタは良い製品を生み出しています。その積み重ねにより今日では、トヨタ式のカイゼンは海外からも一目置かれています。

目的

漠然とカイゼンが重要だと思っていても、その目的が曖昧では実行力に乏しく、継続して行うことが難しいでしょう。先述したようにカイゼンは従業員が全員参加で行うことに意味があり、そのために共通した目的を持つことが重要になるからです。ここではカイゼンの目的について整理します。

コスト削減

製造業において原価管理は非常に重要です。顧客の求める価格でなければ製品は売れず、原価が膨れ上がってしまえば利益もだせません。経営者にとって原価低減は重要なテーマであり、それを実現する一手がカイゼンによるコスト削減効果です。

製造工程でボトルネックとなっていた工程を見直し、作業効率をアップさせるとその工程にかかる工賃は以前より低減できます。

工程を見直す際には、「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「しつけ」から構成される5Sが効果的です。例えば5Sを徹底することで在庫を整理させると保管スペースを縮小できるため、在庫保管によるコストを削減できます。

社員の負担軽減

製造ラインには、作業者にとって肉体的にも精神的にも負担のかかる作業があります。カイゼンは、その負担を軽減させることも目的の一つです。

以前は重量のある材料を人の手で機械にセットしていたが、自分たちで工具を製作・改造することで重い物を持ち上げずに済んだという事例もあります。

またポカヨケのようなヒューマンエラー防止策は、作業者の精神的負担を軽減するのに有効です。

安全性向上

機械操作において危険な箇所があれば見直すことも立派なカイゼンです。特に、プレス機や裁断機、旋盤などの加工機は一歩間違うと重大な労働災害につながりかねません。作業者の安全を確保するために行うカイゼンは、製造ラインを止めないことになるため、品質管理の一環ともされています。

意識改革

カイゼンは経営者主導ではなく、現場主導です。自分たちの仕事を、自分たちの手で良くした結果、作業効率や負担軽減などの成果を実感できると仕事の面白みを発見でき、さらに自主的に仕事に取り組むという好循環が生まれます。

トヨタでは「創意くふう」のスローガンのもと、全員参加で改善を行っており、会社発展に寄与してきました。社員が自律的に取り組むことに、カイゼンの本来の目的があるのです。

実施の流れ

では、実際にカイゼンはどのように進めたらいいのでしょうか。本項では、カイゼンの具体的な流れについて見ていきます。

現状把握(可視化)→問題・課題をみつける→アイディア→改善実施

最初にしなければならないのは「現状把握」です。「赤字の製造ラインがある」「この製造ラインは不良品がよく出る」「作業のやりにくい工程がある」など、ネックとなっている現場の状況を知ることが始まりです。

ここで大事なことはいきなり問題を見つけようとしないことです。最初の段階では現場をありのままに見つめます。

次に「問題・課題をみつける」ことに着手します。現場・現実・現物の三現主義にたって、実際に製造ラインの動きや不良品の状態を細かく観察することで、問題点を洗い出すことができます。データを収集して分析することでも問題点を見つけられます。

課題がはっきりしたら「アイディア」を出す段階です。いきなり有効な対策案でなくとも構いません。自分たちの良いと思ったアイディアを自由に出していくことが大切です。5Sの「整理」といった視点から「要らない作業はないか」考えていくのもいいでしょう。

アイディアが出たら「改善実施」に移行します。カイゼンで重要なことはまずやってみることです。効果のほどを見て、上手くいかなければ軌道修正をして、徐々に問題点を解決に導いていきます。

サイクルをまわして成長を目指す

カイゼンはやりっぱなしではいけません。実際にカイゼンを実施した後は、実施前と同じ条件下でデータを取って効果を計ることが重要です。分析をしてブラッシュアップをすることでPDCAサイクルが回ります。

また、社員のモチベーションを維持するためにも定期的にカイゼンを評価する仕組みも大切です。社員を適切に評価することで、さまざまなアイディアが生まれる土壌が育ち、会社全体の活性化します。

カイゼンでおさえておきたいこと

カイゼンを社内に浸透させるためにおさえておきたいことがあります。「ムダを排除」「ズレを防ぐ」という観点から見ていきましょう。

ムダを排除という視点

カイゼンを推進するうえで重要なのが「ムダを排除」という視点です。ムダな作業はないかという視点から現場を観察することで、より問題点を洗い出すことができるからです。

トヨタは「ムダを排除」を哲学として、「必要なものを必要なぶんだけ、必要なときにつくる」というジャストインタイムを生み出しました。そのトヨタではムダを「7つのムダ」として分別しています。

7つのムダの中身は「つくりすぎのムダ」「手持ちのムダ」「運搬のムダ」「加工のムダ」「在庫のムダ」「動作のムダ」「不良をつくるムダ」です。こうしてムダを項目別に絞ることで現場でのムダを発見しやすくなります。

経営と現場のズレを防ぐ

経営と現場でカイゼンの目的を一致させることも重要です。自社の経営状況を鑑みて、必要なカイゼンは何かを、経営者は従業員に説く必要があります。

「財務体質改善のために赤字ラインのコストを下げたいのか」「労働災害を無くすために安全を確保したいのか」「増産対応のために作業効率を上げたいのか」など、自社の喫緊の課題を共有することで、カイゼンの方向性が合致します。

まとめ

カイゼンは現場の作業員にとって日々のルーティン化された作業とは違い、工夫の必要な活動です。自律的に動かなければ何も生まれません。

同時に、コスト削減や負担軽減、安全性向上などの目に見える結果を得られると、仕事のおもしろさを実感できます。それが社員の意識改革を促します。ぜひ会社の活性剤としてカイゼンを推進してください。

(画像は写真ACより)

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