概要
今回は、従業員約3,000名規模の物流企業におけるノーコードツール(kintone)導入支援プロジェクトのご紹介です。経営企画部(DX推進室)が主導するPoC(実証実験)として複数部署が参加し、業務効率化と内製化の基盤構築を目指しました。当社は、要件整理からアプリ開発、技術支援、運用ルール整備に加え、経営企画部と情報システム部門の橋渡し役としてPM的立場で全体を統括しました。
背景
同社では、部門ごとにExcelや紙での運用が続き、入力作業の負荷、属人化、情報の分散が課題となっていました。これらの解消に向け、経営企画部が中心となり、ノーコードツールの適用可能性とメンテナンス性を検証するPoCが立ち上げられました。物流部門・保険部門・営業部門の3部署が参加し、業務特性の異なる複数領域で効果を検証することで、全社導入の実現性を高める狙いがありました。 20250730_ノーコードツール導入に関する報告資料
課題
部署ごとに以下の課題が顕在化していました。
- 物流部門:現場写真の管理やExcel入力の負荷が大きく、記録の正確性にも課題。
- 保険部門:週報データを転記する報酬計算業務が工数とミスにつながっていた。
- 営業部門:顧客・案件・活動履歴が分散し、情報共有に多くの時間が必要。
共通する課題は「Excel依存」「情報分断」「属人化」「データが蓄積されない」という構造的問題でした。
支援内容
当社はPoC支援、要件整理、アプリ開発、技術支援、運用ルール作成を一貫して担当しました。
さらに、経営企画部と情報システム部門の橋渡し役として、技術的観点と業務的観点を両立させる調整を実施し、システム要件・セキュリティ要件・運用体制が整合する状態を構築しました。
具体的には、
- 各部門の業務フローを可視化し、適切なデータモデルとアプリ構造を設計
- プラグインを活用した計算処理や参照連携を設計し、運用負荷を最小化
- 開発者教育を行い、内製化しやすい設計思想を共有
- 全社展開を見据えた運用ルール(役割定義、申請フロー、容量管理)を策定
内製化支援を重視し、「現場が自ら改善を進められる状態」の実現を目標に進めました。 20250730_ノーコードツール導入に関する報告資料
今後の展開
PoCの結果、kintoneは機能性・操作性ともに高く評価され、全社導入の妥当性が確認されました。今後は、情報システム部門を含めた運用体制の強化、管理者権限やアプリの配布ルールの整備を進めることで、安定した社内展開が可能となります。各部署が主体的に改善を進められる内製化体制の構築が、次のステージとなります。
おわりに
本プロジェクトでは、ノーコードツール導入を単なる業務改善ではなく、組織の「自走力」を高める仕組みづくりとして支援しました。経営企画部と情報システム部門の橋渡しを通じて、運用ルールと開発体制の基盤を整備できたことは、全社DXを加速させる重要な成果です。当社は今後も、企業が主体的に成長するDX支援を続けてまいります。
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