生産工程の見える化とは?その目的やメリットを徹底解説!

近年、生産工程の見える化が注目されています。見える化とは装置の稼働状況、人、環境などを数値化し管理することです。見える化は業務の効率化、生産性の向上に役立ちます。

生産工程の見える化を進めているのは大企業だけではありません。中堅・中小の製造業においても、徐々に浸透し始めています。

少子高齢化が進む日本では、生産性を向上させる一つの手段として、IT技術の導入による生産工程のIoT化が進んでいます。

例えば、生産工程の様子がスマートフォンや自宅のPCで監視できれば、夜勤や突然の呼び出しがなくなるでしょう。

従業員の作業効率が上昇すれば、残業もなくなり生活の質も向上します。装置の突発的な故障を予知できれば、生産計画が狂うこともありません。

このように生産工程の見える化には、作業効率の向上のみならず生活の質をも向上させる可能性が秘められています。

今回は、生産工程の見える化とはなにか、どのような課題に対して有効なのか、その目的、メリットを紹介します。

生産工程の見える化とは

生産工程の見える化とは、生産に関わる様々な事項を数値化、グラフ化することです。

生産に関わる様々な事項とは、製造装置の稼働データ、現場の生産状況や稼働率、機械の振動や周辺温度、人の作業効率などです。これらを数値やグラフにすることが生産工程の見える化です。

製造現場における課題

では、製造現場における課題はどのようなものがあるのでしょうか。一つ一つ確認してみましょう。

ミスがわからない

一つ目の課題はポカミスやケアレスミスが把握できない点です。ポカミスやケアレスミスとは、作業中の不注意が原因で起こる過失のことです。

これらのミスが頻発すると、作業効率の低下や品質の劣化、設備の故障、労働災害の原因にもなります。このようなミスを一つ取り除くだけで生産性は格段に向上します。

稼働率が不明

二つ目の課題は、稼働率が把握できないことです。

もし、稼働率が把握できないとどうなるでしょうか。例えば、省エネルギー対策をしたい場合はどの装置が一番影響が大きいのかわかりません。装置のメンテナンス時期を稼働率によって判断したくても、適切な時期を決められなくなります。

稼働率が把握できなければ工程の改善案や保守日程という重要事項の計画立案にも支障をきたすでしょう。

以上のように、生産現場の稼働率の把握ができないと対策が後手後手になってしまいます。

作業効率が把握できない

三つ目の課題は工員の作業効率が把握できないことです。工員の作業効率を見える化できなければ、個々の作業への適性を判断することができません。

適性が判断できなければ、作業効率を改善するために適切な人員配置をすることが困難になります。結果として、人的リソースの配分がうまくいかず、生産性が低下する懸念が生まれます。

例として、二人の工員AとBが作業Xを行うケースで発生する課題について説明します。このケースでは、どちらの工員が高い作業効率を記録したのか数値化することができません。

なぜならば、作業XをAとBが二人で行う一つの枠組みとして捉えているからです。こうしたケースでは作業X単体の評価はできるものの、個人単位の作業効率が把握できないことが問題になります。

個々の作業効率を把握すれば改善点が見つかるだけでなく、各工員が改善を行えば製造現場全体の改善へと繫がります。

見える化の目的

見える化の目的は二つあります。一つ目は「現状把握」、二つ目は「課題解決」です。

見える化によって生産工程の現状がわかると、生産目標と現状を見比べることで取り組むべき課題が発見できます。さらに、見える化は課題を発見するだけでなく解決策の検討にも役立ちます。

なぜならば、既に課題の原因となる事象が見える化されているからです。例えば、作業工程Yの作業Zで発生するミスが多い、というデータがあるとしましょう。

上記のケースではミスが発生する箇所は既に特定されているため、やみくもに改善手段を考える必要はありません。作業Zに対して取り得る方策を考えればよいので、課題解決に要する労力を少なくすることができます。

もちろん、ミスの発生に複数の要因が絡んでいることもありますが、見える化により取得したデータは、課題解決に大いに役立つ可能性があります。

見える化によるメリット

生産工程の見える化は、現場の課題解決に大きく貢献します。では、具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

生産効率の向上

一つ目のメリットは、IoT技術の導入により生産効率が向上する点です。

生産効率の向上は企業の利益に直結します。クオリティの高い製品を製造しても、品質を高めるために工数が増えれば人件費や管理費がかさみます。コストの増加を避けるには生産性を高めることが必要です。

例えば、岡谷熱処理工業株式会社では熱処理炉やコーティング炉の稼働状況をスマートフォンでリアルタイムに遠隔監視することで、生産工程を見える化しました。

監視システムの導入により、装置の異常運転による品質劣化や納期の遅れを防ぎ、生産性の向上に繋がりました。この事例のように、装置の稼働状況の見える化は生産工程の効率化に貢献します。

従業員の意識向上

二つ目のメリットは、担当作業の目標と現状を見える化すると、従業員のモチベーションが向上することです。

従業員のモチベーションは生産性に大きな影響を与えます。意欲が低い状態で作業をするとミスが増えるため、生産性の向上には従業員の士気を高めることが不可欠です。

では、どのようにして作業の動機付けを行うのでしょうか。成功事例として富士通の草津工場の取り組みを紹介します。

草津工場では生産ラインに問題が生じたとき、問題解決のために多くの時間がかかって生産効率が落ちてしまうという課題が存在していました。

上記の課題に対して富士通は、生産ラインの様々な機器を一つのソフトウェアで管理して制御を行う設備を導入しました。以前から収集してきた大量のデータをもとに、生産ラインに生じた問題を誰でも短時間で対応できるように原因の見える化に成功しました。

富士通の事例は、トラブルに対処する時間や人的コストを削減した結果、生産効率が向上して社員のモチベーションアップに繋がることを示しています。

トラブルの未然防止

三つ目のメリットはトラブルの未然防止です。

福井村田製作所では、装置のスピードやトルク、振動、といった周辺環境を数値として取得するシステムを運用しています。このシステムは周辺環境を分析して装置の故障予知を行い、事前にアラートを出す仕組みを備えています。

製造装置の周辺環境を見える化したことにより、福井村田製作所では故障を予知して未然に防ぐ予知保全が可能になりました。この事例の成果は、故障が発生してから対処する保全時間の割合を約50%も削減したことです。

このように、生産工程の見える化は生産設備の保守の最適化に貢献できます。

まとめ

製造現場における課題は、ミスや稼働率、作業効率が把握できないことです。生産工程の見える化は、ものづくりの一連の流れを可視化するのに役立ちます。

見える化がもたらすメリットには、生産効率の向上や作業員の意識向上、予知保全によるトラブルの未然防止などがあげられます。製造現場で生じる課題を解決に導く手段として、見える化が果たす役割は今後さらに大きくなっていくでしょう。

(画像は写真ACより)

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