エンジニアリングチェーンマネジメントとは?管理手法やメリットを徹底解説!

エンジニアリングチェーンとは

エンジニアリングチェーンとは、製造業における設計部門を中心とした業務の連鎖を指す言葉です。企画構想・開発から始まり、製品設計・工程設計・設備設計、生産準備の一連の技術的なつながりを意味します。

製造業は魅力的な製品を製造し市場で販売することによって利益を得ています。同じカテゴリーの製品であっても、他社と差別化するために自社で独自の製品開発を行います。

優れた製品を開発しても量産が難しいものや、利益を得られないものは市場に投入できません。市場のニーズに合った製品を作るために重要となるのが、エンジニアリングチェーンの概念です。

サプライチェーンとの違い

似たような言葉で、サプライチェーンという言葉があります。サプライチェーンとは、製品が消費者に届くまでの原料調達・製造・在庫管理・物流・販売などのつながりのことです。

さまざまな企業から仕入れた部品は、最終的に製品を組み立てる工場に集められます。材料については、原産地から材料の生成・加工を経て工場に運ばれてきます。

部品についても、小さな部品を作る町工場や海外から輸入するものもあるでしょう。集められた材料や部品は、製品として組み立てられて市場に出荷されます。

サプライチェーンは、製品が完成して消費者に届けられるまでに経由する企業の横のつながりを示し、エンジニアリングチェーンは、製品が組み上げられるまでに関わる部署の縦のつながりを示しています。企業が製品を作って利益を上げるためには、どちらも重要なつながりです。

エンジニアリングチェーンマネジメントが注目されるようになった背景

エンジニアリングチェーンにおける設計情報や部品情報の共有をECM(Engineering Chain Management)と呼びます。

本項では、ECMが注目されるようになった背景について説明していきます。

製品ニーズの多様化

現代では、経済のグローバル化によって市場が拡大してより多くのユーザーに製品を提供できるようになりました。

市場の拡大やユーザーが増加すると、製品に対するニーズが多様化します。細かく枝分かれしたニーズに対応するために、メーカーはさまざまな製品を開発する必要があります。製品のラインナップを充実させるだけでなく、どの市場にどれだけ供給するか判断しなければなりません。

製品ライフサイクルの短期化

近年はニーズの多様化に加えて、製品ライフサイクルの短期化が進んでいます。多くのユーザーに使われる優れた製品から、さらなるニーズが生まれて新たな商品開発が求められるためです。

ユーザーから新たなニーズが生まれるたびに、メーカーは次の製品を開発・生産して市場に投入しなければなりません。

市場に製品を投入するタイミングがズレると、優れた製品であろうと多様なニーズを要求するユーザーに受け入れてもらえなくなります。

国際的なコスト競争

現在の製造業では、特別な理由がない限りシェア100%という企業はありません。ユーザーは、多彩な製品の中から、自分の好みに合ったものを選ぶことができます。

ユーザーが製品を選ぶときは機能だけでなく、高いコストパフォーマンスを要求します。優れた製品であろうと、ユーザーが負担できる価格に見合わないと市場には受け入れられません。

高い要求品質と製造物責任

高い機能を備えた製品でも、すぐに壊れるようなものは消費者の支持を得られません。

一部には「安かろう」「悪かろう」を受け入れるユーザーもいますが、やはり製造業にとって品質は生命線です。また、製品が原因による事故があってもいけません。製品が原因による事故については、企業の製造物責任が問われます。

以上のような背景により、市場の多様化するニーズに合った製品を適正な価格でタイムリーに供給し、消費者に安心して使ってもらうためにECMが注目されるようになりました。

エンジニアリングチェーンマネジメントのメリット

本項では、ECMによって市場のニーズにあった製品を供給するメリットを説明します。

設計情報の共有化

設計情報の共有化により、製品設計のリードタイム(所要期間)を飛躍的に短縮することが期待できます。現在では、製品図面はCADによりデータ化するのが一般的です。

しかし、図面の元となる情報については完全なデータ化が進んでいません。ECMによって過去に行った設計検討に変更がなければ、改めて同じ作業を繰り返すプロセスが不要となり、図面データを流用することができます。

プロセスの省略やデータを流用することで、設計のリードタイム短縮が可能になります。また、新たな技術を開発するときも過去に設計した情報を参考にできれば、工期の短縮化が可能になるでしょう。

部品情報の共有化

部品情報を共有化することで、サプライチェーンにおけるリードタイムが確保しやすくなります。

細分化するニーズに合わせて1点1点違う部品を使うとサプライチェーンが複雑となり、調達にかかる期間が長くなってしまいます。そうした問題を避けるために部品情報の共有化を行えばコストの低減にもつながるでしょう。

まとめ

ECMを行うことで、さまざまなニーズに対応した製品をタイムリーに市場へ供給できます。製品を適切なタイミングで市場に提供できれば、企業間の競争を有利に進められるでしょう。

市場で優位性がある製造技術は、他社へ有償で提供して自社の利益につなげられます。他社ブランド製品の製造(OEM:original equipment manufacture)を請け負えば、シェアを拡大して市場での優位性をさらに高めることができるでしょう。

経営マネジメントの一部ともいえるECMを活用して自社の競争力アップを図ってみてはいかがでしょうか。

(画像は写真ACより)

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