ERP(企業資源計画)とは?MRPとの違いやメリット・導入するためのポイント

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、日本語で「企業資源計画」と訳します。ERPは経営管理の考え方であり、企業の資源である「ヒト・モノ・カネ」を一元的に管理することで経営状況をリアルタイムに把握し、経営の効率化を目指すものです。

このような考え方を実行に移すソフトウェアを「ERPパッケージ」と呼んでおり、海外・国内ベンダーからさまざまなERPパッケージが提供されています。

かつてのERPは自社で用意したサーバーにインストールするオンプレミス型が主流で、多額の費用がかかることから主に大企業で使用されていました。

しかし、近年ではインターネットを介してERPシステムを利用できるクラウド型の普及により、比較的安価で導入できるようになりました。そのため中小企業でもERPによる経営の最適化が進んでいます。

MRPとの違い、歴史

MRP(Material Requirement Planning)とは「資材所要量計画」のことで、生産管理システムの一つです。

MRPの手順は、販売計画から生産に必要な部品の所要量を計算して、調達や生産の計画を立てていきます。余分な部品を注文せず、生産に必要なぶんだけを注文する仕組みのため、在庫量をつねに適切に保つことができます。

このMRPは1960年代から70年代に広まったシステムであり、1980年代後半になるとMRPⅡ(Manufacturing Resource Planning)へと進化します。

MRPⅡは「製造資源計画」と訳され、部品や原材料などの資材管理が主だったMRPに対して、人員配置や工数、設備などの製造能力を加味して生産計画を立てる管理システムです。

そして、2000年に入ってからERPが注目されるようになりました。ERPはMRPをさらに発展させた考え方であり、生産から購買、販売、経理、営業といったすべての部門を一つのシステムに集約することを目指します。

ERPの目的

企業はさまざまな部門から成り立っていますが、ERPの普及前は部門ごとに独立したシステムを使っていました。例えば生産部門は生産管理システム、販売部門は販売管理システム、経理部門は会計管理システムをそれぞれ使うというようにです。

ERPにおいては全部門で共通のシステムを使用します。その目的を具体的に見ていきましょう。

全社的な情報共有

全部門で共通のシステムを使用するとは、営業であれ、会計であれ、人事であれ、すべての従業員が同じデータベースにアクセスでき、それぞれに必要な情報を部門の垣根を越えて入手できることを意味します。

企業の事業は部門ごとに密接に関わりながら行うものなので、仕事の属人化をさけるという意味でも全社的な情報共有は重要なのです。

経営情報をリアルタイムに把握

ERPでは社内におけるデータが一つに集約されます。そのため経理や営業が入力したデータが自動的に転記・反映されるようになり、日々最新の経営状況を見ることができます。

半期や月ごとではなくタイムリーな経営情報を入手できれば、経営戦略の見直しを図ることも容易になり、最適な意思決定が可能です。

部門間連携による業務効率化

部門ごとに独立したシステムを使うとデータの共有化が難しいという問題が発生します。例えば、購買部門で購買管理システムに入力したデータは、経理部門の会計管理システムには転記されないので、経理が手入力をしなければなりません。

これだと単純に手入力の手間が発生し、ミスやバグを起こす原因にもなります。

しかし、ERPがあれば部門ごとに入力したデータは最終的に一つのデータベースに反映されるため、二重入力という無駄を省くことができ、業務効率化を実現できます。

ERPのメリット

ERPのメリットは目的と裏返しの関係にあります。すなわちERPの目的がほぼメリットと言えますが、もう少し具体的に企業としてどのような効果があるのか見ていきましょう。

経営の状態を明確にできる

社内に散らばっているデータを一つに統合できるため、ERPは自社の状況を可視化するのに適したシステムです。なぜなら見たいデータを抽出してタイムリーな経営状況を分析することができるからです。

例えば、販売計画に対して生産は追いついているのか、在庫量は適正か、債務状況はどうか、など経営に影響を及ぼすあらゆるデータを分析すれば、意思決定に役立ちます。

また、製造業にとって原価計算は必須ですが、人件費や材料費、販売管理費などもリアルタイムに把握することで、より自社の経営状況を明確にできるでしょう。

業務の効率化で負担を軽減

先述したようにERPは全部門共通のシステムですから、単純な二重入力を無くすだけでも作業者の負担は軽くなり、業務効率もアップします。

また、部門間の連携が素早く取れることにより業務スピードも向上させることが可能です。購買や販売管理は経理と密接に関わっているものですが、発注や受注が一元管理されていれば経理でも支払いや請求書の発行をスムーズにできるからです。

ほかにもミーティングで共有することが必要な内容もERPシステムで確認できれば、浮いた時間を他の仕事にあてられます。

調達・在庫保管におけるコストを低減

ERPシステムを活用すれば、需要状況に即した販売計画を立てられます。生産管理もそれに合わせて動いていくので在庫が過剰になることはありません。そして、在庫管理とも繋がっているため不足することなく適正な量を保つことができます。

このように余分な部品を注文せずに済み、また在庫もつねに適正であれば調達や保管に関するコストを低減できるのです。

ERP導入のポイント

ERPを導入する際には事前に考えておくことがあります。

一つ目は「導入する目的の明確化」です。企業によってERPを導入する目的はさまざまですが、ERPによって自社のどのような問題を解決したいかや自社の将来像などを明確にしておくとよいでしょう。

システム導入には時間や予算的な制約があるものですから、まずは何を実現させたいのかをはっきりさせておくことが重要です。

二つ目は「業務の棚卸し」です。ERPシステム導入の際は社内の全業務をシステム内で運用することを想定しています。

ERPに適用させるために、現状の業務を見直す必要もあるかもしれません。導入の前に一度自分たちの業務を整理しておくと見直しやすくなり、外部のコンサルタントからも具体的な提案を受けられます。

最後の三つ目は「フィット&ギャップ分析」です。複数のベンダーから自社に適したERPパッケージを選定した後は、そのパッケージの機能と業務の適応箇所(フィット)と隔たり(ギャップ)を分析する必要があります。

中小企業の場合には、独自の業務手順が存在することが多く、パッケージの備える機能では対応できないかもしれません。フィット&ギャップ分析では、パッケージに合わせて変更すべきか、ムリにフィットさせずに独自性を維持すべきかなどを判断します。

まとめ

ERPは社内の経営状況を透明化させることで、企業の競争力を強化する役割があります。導入の際には、ベンダー選定はもちろん大事ですが、自社でも目的の明確化や社内業務の棚卸しなどをする必要があります。ぜひ自社に適したERPシステムを見つけてください。

(画像は写真ACより)

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